Red HatのRed Hat Certified System Administratorを取得したのでその記録です。
筆者の背景・受験の理由
普段は診断系のセキュリティエンジニアとして働いており、ペネトレーションテストに特化したKali Linuxは扱う一方でRHELに触れる機会は多くありませんでした。しかし診断対象のシステムではRHELを見かけることも多々あり、最近意識している「診断対象に向き合い開発に寄り添う」活動の一環として勉強を行いました。
RHCSAとは
RHCSA(Red Hat Certified System Administrator)はRed Hat社が提供するRed Hat Enterprise Linuxに関する技能を証明する資格です。Red Hatの資格は多数あり、RHCSAは初級資格に該当します。その上には中級のRHCEや上級のRHCAが存在しますがここでは割愛します。資格制度の全体像が気になる方は赤帽エンジニアブログが分かりやすくまとまっているのでそちらをご覧ください。
RHCSAで問われる内容は試験の目的に記載してあります。RHELを管理するのに最低限必要なコアスキルが問われます。また、試験形式は仮想環境のコンソールを使用してひたすらタスクをこなしていく実技形式で、再起動後に残った設定を見て採点が行われます。
なお、2022年4月の赤帽エンジニアブログによると「RHCSAの国内認定者数は、約700名」とのことです。IPAやAWSなどと比べると比較的少ないですね。
研修・教材の感想
Red Hat Learning Subscriptionを使用しました。SubscriptionのなかのRHCSAに対応する教材としてはRed Hat システム管理 I (RH124) 、Red Hat システム管理 Ⅱ(RH134)、RHCSA 速習コース (RH199) の3つがあります。システム管理のⅠとⅡを圧縮したものが速習コースです。
私は最初システム管理Ⅰをちまちまと進めていたのですが、いよいよSubscriptionの期限が近付いてきたため慌てて速習コースに取り掛かり、そのまま3日ほど勉強した後に試験を受けました。そのため触れた教材としては速習コースが主になるのですが、全体としてテキストは分かりやすく、ラボの環境もスムーズに動作し、学習効率が高いと感じました。各章にガイド付き演習やオープン・ラボが含まれており、実際に手を動かして学べるので楽しかったです。また、壊してもDELETE→START操作を行うことでラボ全体を3分ほどでリセットできるのも嬉しかったです。ラボの詳細が知りたい方はRed HatのHow to use labs in Red Hat Learning Subscriptionを視聴するとイメージがしやすいと思います。
勉強方法・スケジュール
速習コースに沿って学習を進めました。最初にテキストを通読し、その後ガイド付き演習やオープン・ラボを実際にコンソールを叩きながら学習を進めました。速習コースの内容を理解していれば合格ラインに乗ることはできるだろうと思います。
スケジュールに関しては2024年7月23日からLearning Subscriptionを開始し、仕事で必要になりそうなものをつまみつつシステム管理Ⅰを勉強していました。間に様々な仕事やら他の資格やら入ってきたのでちまちまと進めていましたが、Subscriptionが切れる4月24日に重い腰を上げ試験を申し込みました。
試験
試験予約は予約サイトが用意されているのでそこから行います。リモート試験とテストセンターがありますが、私は環境を用意するのが面倒だったためテストセンターにしました。ただ、テストセンターは横浜・中野・恵比寿の3カ所であり、直前だと選択可能な日程が限られるので早めの予約をおすすめします。私はレッドハット株式会社の日本本社を覗いてみたかったので恵比寿にしました。
予約が完了すると確認メールが届きます。大事なのでよく読みましょう。今回は15分前までに受付を済ませ、身分証明書(パスポート)持参し、受付システムの登録することが必要でした。
ちなみに、予約をした場合でも先方の都合により受験日時の変更を要求される場合があります。今回、消防訓練と重なったので変更せよというメールが来ました。結局別のテストセンターの話だったとして予定通り受験はできましたが、有給取っての受験等日程をきっちり定める場合には注意が必要です。
恵比寿の受付に関しては受付システムが動作せず(?)、不思議な状況に陥ったものの無事に受験することができました。受付周りのトラブルでも焦らないように30分前くらいに着いても良いのではないかと思います。予約や受付の雰囲気を見るに受験者数が少なく対応に不慣れなのかもなぁと思いました。
受験環境については少し広めの1人席でした。一点注意点として、受験の最初にログインが求められます。ここで使用するログインIDはメールアドレスではなくUsername(予約確認メールのRed Hat Usernameの部分)と、Exam Code(これも予約確認メールに記載。EX200V93KではなくEX200)が必要です。私はメールアドレスを入れるのか、EX200ではなくEX200V93Kなのか試行錯誤してしまいました。また、会場自体は空調の動作音はしましたが特に不満はありませんでした。ただ、最初英語の案内が出るとは知らず、同意画面や注意事項が英語の記載で面食らってしまいました。Proctorとのチャットでのやり取りも英語だったので少し戸惑ってしまいましたが、身分証明書をカメラに向けたり、手を見せたり、部屋を見せたりするので心構えをしておくと良いと思います。
試験内容について詳細は語れませんが、できるところを確実に設定することが大事だと思います。特にケアレスミスによって配点を落とすことも考えられるので、難しい設問に固執するよりも確認コマンドの実施や設定ファイルの見直しに時間を割いた方が安全に得点を稼げると思います。
試験は14時57分に退室し、その後15:20に結果通知のメールが来ました。速習コースのラボと同様に機械的に採点し結果通知まで行っている気がします。なお、結果は300点満点中210点以上で合格のところ、270点でした。
感想
RHCSAはRHELの正しい取扱い方を体系的に学べるという点で良いコンテンツだったと感じました。テキストはコアスキルとして必要な部分を体系立てて構成されており、ラボが用意されているため実機を触れるのも嬉しいところです。試験もコースの内容が出題され、力試しとしてちょうど良い塩梅であした。また、SELinuxは体系的に学んだことはなく学生時代は何も考えず無効化してきたこともあったので、SELinuxと正しく付き合えるようになったのも嬉しかったです。
以前LinuC 101,102,201,202,303を取得しましたが、LinuCの試験形式は四肢択一の選択式でした。一方でRHCSAは似た内容を扱うものの試験形式は実際にコンソールを叩くパフォーマンスベースの試験です。LinuC→RHCSAという順で学習を進めることで、知識を付けた後に実技を試すことができるため、個人的にはその流れをおすすめしたいと思います。
今後の予定
気が向けばRHCEも目指したいと思います。