2024年7月末にLinuC 101,102,201,202試験に合格したのでその記録です。また、2024年8月にLinuC 303に合格したので一部追記をしています。
筆者の背景・受験の理由
情報系の学生を9年間続けた後、現在はセキュリティエンジニアとして働いています。高専時代からLinuxは触っており、ついでに一夜漬けの技術もその頃鍛えられました。
最近は診断案件で他人が作ったシステムを叩き壊してばかりですが、適切な推奨策を提供するには構築力も鍛えなければと思っていたところ、ちょうど会社のバウチャー付き無料研修を受けられたのでLinuCの勉強をすることにしました。また、303については「LinuC受験チケットのご購入でプレミアムコンテンツ1ヶ月分プレゼント」キャンペーンで受験チケットを自費購入したので、キリよく303まで勉強することにしました。セキュリティエンジニアなのに303だけ取らないのも格好が付かないですし。
LinuCとは
LinuCは簡単に言えばLinuxが扱えることを証明する資格です。レベル1,2,3,システムアーキテクトの4段階に分かれており、今回はレベル3までの101,102,201,202,303試験についての記録になります。内容は各試験の出題範囲を眺めると雰囲気が分かると思います。
スケジュール
OffSecのLearn Unlimitedを契約し、その90万円/年を優先しすぎた結果、バウチャーの有効期限ギリギリにまとめて受けることになりました。また、ついでに303も夏季休暇前に取ってしまおうと思い慌てて取りました。計画的な勉強をおすすめします。
- 2023年7月 OffSecのLearn Unlimited開始。
- 2023年9月 LinuC 101,102,201,202試験対策(チケットあり)を受講。
- 2023年11月 Ping-tの「LinuC受験チケットのご購入でプレミアムコンテンツ1ヶ月分プレゼント」キャンペーンで受験チケットを購入し少し勉強する。
- ~2024年6月 OffSecのLearn Unlimitedは90万円/年で価格が高いと気付きそちらを優先する。OSCP,OSWA,OSWP,OSDA,OSWE取得。
- 2024年7月 7/31にバウチャーの有効期限が切れることに気付き、7/24に勉強開始。7/26に101試験、7/28に102試験、7/29に201試験、7/30に202試験を受験。すべて合格。
- 2024年8月 303分のバウチャーは11月に有効期限が切れるが、どうせなら夏季休暇前に取ってしまおうと8/9に303試験を受験。合格。
試験日 | 試験名 | 結果 |
7/26 | 101 | 合格 |
7/28 | 102 | 合格 |
7/29 | 201 | 合格 |
7/30 | 202 | 合格 |
8/9 | 303 | 合格 |
勉強方法
会社負担の研修を受けた後、試験勉強方法としてはPing-tのみを使用しました。合格だけであればPing-tだけで十分だと感じましたが、一方でしっかり体系的に学ぶのであれば本を買った方が良さそうです。
Ping-tでは問題集とコマ問の2つが提供されていますが、私は問題集の方を自由演習でひたすら一問一答していました。未出題とミスを全分野で回し、解説は知らなければしっかり読むという感じです。コマ問ではコマンドを記述する問題が出ますが、一問一答できないのと、試験で問われる問題は基礎的なコマンドのみなのであまり手を付けませんでした。
最終的な問題集の解答状況は以下になります。一夜漬けが連続し、また徐々に飽きているため未出題の割合が増えつつ受験した形となっています。一晩+朝では300問程度が限界ですね。
未出題 | ミス | ヒット | コンボ | |
101 | 0 | 114 | 411 | 152 |
102 | 112 | 141 | 289 | 23 |
201 | 328 | 117 | 253 | 1 |
202 | 431 | 134 | 238 | 7 |
303 | 130 | 91 | 232 | 24 |
予約や事前準備
バウチャーの有効期限が7/31であることに気付いたのは7/24だったので、7/26に101試験、7/28に102試験、7/29に201試験、7/30に202試験で予約を行いました。直前で予約をかける場合、枠がほぼすべて埋まっているため、平日の101,201,202試験をOnVue受験、日曜日の102試験をテストセンター受験としました。また、303はお盆前の8/9(金)の昼にOnVue受験しました。土日は予約枠が埋まりがちなので、無茶なスケジュールも組めるリモートワークとフレックス制度に感謝です。
事前の準備としては本人確認書類としてのパスポートの準備とOnVue受験のためのシステムテストと部屋の片付けを行いました。普段は外付けディスプレイが4枚ありますが、すべて外す必要があるのでそこは面倒でした。しかも4回も取り外す必要があったのは地味に大変でした。
当日の内容
OnVue受験
オンライン受験であるOnVueでは、システムテストを再度行った後、顔・本人確認書類・部屋などの確認が行われます。その後試験官とのチャットが開き、カメラで映しつつ本人確認や部屋の確認などが改めて行われます。部屋の確認は担当者によって粒度が異なります。一通りの確認が終わると受験画面となり、あとは普通に受験・アンケート回答するという流れでした。なお、合否は即座に表示されます。
他のブログではOnVueのソフトウェアは動作が重いことや、試験官が厳しいことに触れられていましたが、私の場合は試験ソフトウェアは軽快かつ試験官とは最初の確認以外で話すこともありませんでした。全体として体験は良かったため、部屋さえ片付いていればOnVue受験をおすすめします。
テストセンター受験
102試験のみ日曜日だったこともあり1駅先のテストセンターで受験しました。本人確認書類としてパスポートを持って行った以外は特に気を遣うこともなく、トラブルもなく受験することができました。ただ、テストセンターまでの道のりは直射日光がつらかったので、暑い日は外に出ずOnVue受験でクーラーの効いた部屋に引きこもり受験すると良いかもしれません。
試験結果
一夜漬けを連続させた影響で徐々にスコアが下がっていますが、一応合格ラインは超えました。合格点は公表されていないものの、「目安として65~75%程度の正解率で合格点」とのことです。ただ、Xで「linuc 合格」で検索すると合格ラインが記載されたスコアレポートがたくさん見つかるので、参考にすると良いかもしれません。
試験 | スコア |
101 | 666 |
102 | 693 |
201 | 560 |
202 | 546 |
303 | 533 |
感想
Linuxの基本的な扱い方について理解を深めることができました。このブログはVPSにApacheを入れてWordPressで稼働していたりLinuxに親しみはありますが、DNSサーバーなどは扱ったことがなかったので知識の幅が広がりました。普段扱わない機能も含めて幅広く体系的に学べるのは良いと思います。
ただ、その一方でコマンド自体を暗記する必要があるのかは疑問です。暗記せずともhelpやmanを確認すれば良いですし、むしろ本番環境でコマンド叩くなら毎回確認した方が良いと思います。また、一部のアプリケーションについてはオンプレミス環境に構築することは減っており、活かせる機会も少ないのではないかという気もしました。例えばDNSサーバーを自前で構築するよりもお名前ドットコムやらRoute53の管理画面で管理した方が楽ですし、メールに関してもGmailやOffice 365(Exchange Online)使う人が多い気がします。その辺りのオンプレミスとクラウドの両方を理解した上で最適なシステムを提供できるようになれると良いかと思いました。
そう考えると、IT系初学者のおすすめルートとしては基本情報→AWS CLF→LinuC 101,102なのかなぁと思います。
最後に、LinuCの道に進むか迷っている人については無料なのでPint-tの101試験の問題集を触ってみることをおすすめします。