電子基板上の黒い樹脂について

電子工作をしていると,たまに下の写真のような黒い樹脂を見かけることがある.この黒い樹脂はどういったものなのか,素人なりに調べてみた.
結論だけ先に示してしまうとChip On Boardという技術により,パッケージ化していないシリコンダイを基板に載せて配線し,それをエポキシ樹脂などにより覆ったものであるとわかった.
これによりコストの削減や省面積化を行うことができるらしい.
この分野は素人なので,間違ったことを書いていたら@pome_11までリプライをいただけるととてもうれしいです.
 


 

きっかけ

写真は秋月電子で購入したSC1602BSLBで,商品ページにはインターフェースICはHD44780コンパチブルと記載されている.
基板上にはU1とU2以外にICのようなものはないため,U1またはU2がLCDのコントローラであることが推測できる.
SC1602BSLBのデータシートのp7に記載されている情報によるとControllerはST7066U or Equivalent (同等品?)らしく,これがHD44780コンパチブルのようだ.
ST7066Uのデータシートのp1にはQFP80 and Bare Chip availableと書かれている.
QFP80というのは黒くて四角いパッケージで,ピンが計80本付いているものを指す.

一方でBare Chipというのは,パッケージ化されていないシリコンダイを指す.
 

Chip On Board IC

Chip On Board ICとは,ICをシリコンダイの状態のまま基板に載せ,基板と接続する技術である.
パッケージ化されていないシリコンダイを使用するため,低コスト省面積であるという特徴を持つ.
先述したST7066UなどのICはパッケージ化されていないシリコンダイの状態で販売され,接着剤により基板上に固定される.
基板とICの上の面はワイヤ・ボンディングにより接続され,ICと配線をエポキシ樹脂などで覆う.
これにより,最初の写真のような黒い樹脂の形となる.
 

ポッティング

「樹脂などによりICを覆う」技術として,ポッティングというものも存在する.
電子基板におけるポッティングとは防振,腐食,放熱,短絡防止などの目的にために基板やパッケージを樹脂などにより覆う技術のことを指す.
写真は7セグLED.

他にもこのページでは樹脂ポッティングでは防塵や防水・防湿,製品寿命の向上が期待できると紹介されている.
 

インペイブラック

Sunhayatoの商品としてインペイブラックというものがある.
これはその名の通り基板や配線の隠蔽に使用する.
絶縁,耐熱,耐水性に優れている点ではポッティングと似ているが,隠蔽目的であるため色が黒く除去が困難であるという特性を持つ.
 

見分け方

完璧な見分け方ではないが指標を以下に示す.

Chip On Board ICは遮光性のある黒が多く,ポッティングは任意の色が使われる事が多い.
インペイブラックはその名の通り黒.
Chip On Board ICに黒が多い理由はシリコンダイを使用するため,遮光性のある素材で封入する必要があるため.
仮に透明な素材を使用した場合,半導体に光が入り内部光電効果により電気伝導率が増加する恐れがある.

範囲

Chip On Board ICではICのみを樹脂などで覆う.
一方でポッティングやインペイブラックでは基板全体など,広い範囲を覆うものが多い.

つや

インペイブラックはザラザラしてるっぽい…?
実物を触ったことがないが,使用例動画ではザラザラっぽく見える.